2022.06人機一体
×タツタ電線
人と機械を「つなぐ」技術。
その社会実装が、人を苦役から解き放つ。
新たな技術を取り入れ、新たな市場へー。
株式会社人機一体と提携する狙いや今後のビジョンをテーマにクロストークを実施しました。
組織名・肩書は取材当時のものです。
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営業部門・DX推進室・
特命事項管掌 中村常務 -
DX推進室 日出主査
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株式会社人機一体 金岡博士代表取締役社長
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W&C事業本部
営業統括部 辰馬主任
既存の市場だけでなく新たな技術に基づいて新たな市場を作るために
株式会社人機一体(以下、人機一体社)との提携に至った経緯をお聞かせください。(※以下、敬称略)
日出弊社大阪工場では人の背丈程のトン級の電線ドラムを多く扱っています。各種制約で自動化が難しい状況であるものの、安全の視点から、「人がドラムに触れない運搬の実現」を主題として、効率化も睨みつつ何とかできないかとDXのワーキンググループで考えていたんです。金融機関から紹介されたスタートアップ企業に人機一体社があり、昨年7月に経営企画部と共に訪問させていただきました。
金岡我々の「先端ロボット工学技術を社会実装し、苦役を無用とする」というビジョンに共感し、一緒にやろうと言っていただいたこと、改めて感謝いたします。もちろんビジョンだけではなく、単純に既存の市場で新しい製品を開発するに留まるのではなく、新たな技術に基づいて企業間で連携し、新たな市場を創ろうという我々のビジネスモデル「人機プラットフォーム」に着目いただけたことも嬉しく感じています。
辰馬弊社は今まで既存のロボットや自動化設備に長年ケーブルを提供し続けてきたので、その分野に関しては実績もノウハウもあり、良いものを提供してきたという自負があります。その技術やノウハウを、御社のように今までとは異なる新しい市場を創られているところにも是非お役立ていただきたいと思っています。また逆に、新しい市場を作っていく中で出てくるだろう、今まで知り得なかったニーズも掴んでいきたい。それをいずれ製品化・標準化し、世の中に「こんな良いものがある」とご紹介いただけるようなものづくりを目指していきたいですね。
金岡我々はベンチャーの中でもわりと特殊な会社だと思います。場合によっては色物と思われたり、胡散臭いと感じられることもあります。もちろん我々は、人機プラットフォームのような「企業連携による先端ロボット工学技術の社会実装の仕組み」が至極真っ当だと思って取り組んでいます。が、それを理解していただくのはなかなか難しくて。そんな中、御社は事業会社としてケーブルを開発されてきて、ある意味で特定の市場の中で固定されがちな考え方を、人機一体社のロボット工学技術のような新しいものを取り入れることで革新していこうというオープンマインドをお持ちだった。そこに、非常に感銘を受けました。
日出ありがとうございます。「何でも取り入れてみる」というのは当社がDX活動開始当初から意識して進めてきたことなのでそう評価していただけるのは率直に嬉しいです。私なんかは御社のHPを拝見したときから「すごくおもしろそうな会社だ!早く行ってみたい!」でした(笑)。御社は様々な企業と一緒に取り組んでいらっしゃいますし、弊社内の課題に対しても今までと違う発想ができるのではないかなとワクワクしています。
中村使う側としての問題点や困っていることを解決したいという意識があって、それに対するノウハウや技術を提供しているところがある。そのマッチングが今回うまくいった、ということですよね。自分勝手な開発もできないし、それは困っていることの解決にもならない。ですから、お互いにちょうどマッチした良い機会だったと思います。
インフラにおける新たな技術と信頼性の掛け合わせによって国の活力につながる価値へ
ロボットを「人が操縦すること」にこだわる理由やメリットについてお聞かせください。
金岡我々人機一体は「あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする」という理想を掲げて開発を行っています。つまり、重労働、重作業を未だに人が生身で行っているのはおかしいのでは?というのが根本的な考えです。人が重作業をせざるを得ないのは「人以外にはできないから」なので、人の代わりに重作業をやってくれる何かを作ればいいのです。当然それはロボットのような機械を指すわけですが、AIが完全に自動自律で作業してくれるようなロボットが出てくるのを待っていると100年後とかになりそうですよね。もういい歳ですしそんなに待っていられないので(笑)、あと10年くらいで実用化できるようなテクノロジーを急いで入れていきたい。そう考えると、唯一合理的なソリューションは「人とつなぐこと」。機械と人とをつなぐ技術を作れば、様々な苦役は解消できるはずだと考えています。人と作業との間に、フィルターとしてロボットを挟む。それが結果的に、「操縦」という形になったということです。人と機械が1つのシステムとして、相乗効果を発揮しながらうまく作業を遂行する。フィルターとしてのロボットを実用化することで、これまでのロボットではできなかったこと、あるいは人単独でもできなかったことが実現できる。そんな世界を目指しています。
中村たとえば鉄道の電気設備メンテナンス業務や保線業務など、高所や限定的な場所での作業にも活かせる技術ですよね。それに、現場での仕事をする人が減少していたり、高齢化によって技能の伝承ができなくなっていたりという社会問題もあります。苦役から解放されれば人は集まってくるだろうし、今働いている人も安全に作業できる。そういうメリットもあるのでは?
金岡仰るとおりです。弊社が今関わっている鉄道の分野でも本当に高齢化が著しく、若い世代が入ってこない。技術やノウハウは一旦途切れたらもう戻せませんから、いかに継承していくかというのは非常に重要な問題です。きちんと継承していかないと社会のインフラが維持できない、つまり国力が維持できないという事態にもなりかねません。そういう意味で私たちがやろうとしていることは非常に重要かつ壮大。人々が健康で、国全体が活力を維持し、若い人たちが入ることで新陳代謝も活発になり、それによりあらゆる成果を生み出していく。そんな、国の活力につながるような価値を提供しようとしているわけです。
中村私たちの生活や未来に密接に関わっている分野と言えますね。弊社の従業員にも、そういう部分に携わっているというプライドを持って仕事をしてもらえればと思います。
辰馬そうですね。電線もインフラですし、人の作業自体を変えていくというのもインフラに関わってくること。ケーブルも苦役と言われる環境で使われているものなので、そういう意味でも御社と弊社とでマッチするものがあるのではと思います。
現場課題の解決とワクワク感を活かした攻めの営業
今後のビジョンについてお聞かせください。
日出「人がドラムに触れない運搬」を実現するため人機一体社と共に新しいハンドリング装置の開発をディスカッションしています。ニッチだけど当社にとってはできるだけ早い解決が必要な分野。他社にも同じような困り事はあるはずですし、他の重量物にも適用可能な汎用性のあるものを検討しています。人機一体社のロボット技術やワクワク感と、インフラを支えてきた当社の信頼性とを掛け算したものを作り出せればと思っています。
辰馬私はとにかく、地味と思われがちなケーブルの営業を、人機一体社の人型重機を活かしながら派手にやりたいですね(笑)。単純な価格だけの交渉ではない、ケーブルに求められている付加価値を大切に、攻めの営業を行っていきたい。きっとお客さまの食いつきも全く違ってくると思います。ロボットや乗り物はいつの時代も人気者ですから(笑)。
中村そうそう、私も最初「人機一体」って社名を聞いた時、モビルスーツを作るのかと思いましたよ(笑)。
金岡「攻めの営業」の究極と言えるかもしれませんが、我々の直近のマイルストーンとして、2025年の大阪・関西万博で二足歩行の「人型重機」を出展したいと考えています。既にあるものではなく、新たに開発し、世界を驚かせるようなものを是非お披露目したいし、そこに使われているケーブルは全てタツタ電線様、グループ会社様の製品というふうにして、御社の電線技術によって高機能が実現できていることを世界に発信していきたい。大切なのは、いかに多くの方々に技術を知っていただくか。知ってもらわなければ採用してもらえないし、社会実装もできませんからね。そういう意味でも御社と連携して、メッセージとして広く社会に発信できると非常に嬉しいです。
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